引越し当日は、ちょっとした判断ミスや準備不足がそのままトラブルに直結しがちです。
「事前準備はできたけれど、当日は何をすればいいの?」
「スムーズに進めるために流れを知っておきたい」
──そんな不安を抱える人は本当に多いです。
僕は引越作業員として2020年から5年間、累計3,000件以上の現場を経験してきました。その中で痛感したのは、お客様の当日の立ち回りひとつで、作業品質もトラブル発生率も大きく変わるという事実です。
この記事では、引越し当日に必ず押さえておきたい“やることリスト”をプロ目線でわかりやすくまとめています。
ポイントを知っておくだけでトラブルを避けやすくなり、作業員のパフォーマンスも自然と上がります。
高品質な引越しは、準備で9割が決まります。
この記事を読みながら、安心して任せられる環境づくりを一緒に整えていきましょう。
引越し当日に必ずやるべきこと一覧

まずは「司令塔」になる意識を持つ
いよいよ引越し当日。あなたは“荷物の持ち主”であると同時に、この現場をスムーズに進めるための司令塔でもあります。
というのも、引越作業員はお客様の判断や協力が必要な場面が必ず出てきます。しかし、お客様に当事者意識がないと「判断待ち」や「確認不足」が続き、結果としてトラブルや作業の停滞につながることが少なくありません。
逆に、当事者意識を持ち、必要な場面で声かけや確認をしてくれるお客様の場合、作業員は迷うことなく作業を進められ、高品質な引越しが実現しやすくなります。
“自分の動きが当日の品質を左右する”
まずはこの意識を持ったうえで、「衛生面・技術面・接客面」の3つに分けて、当日やるべきことを確認していきましょう。
| カテゴリー | やること |
| 衛生面 | ✅ 主体的に動く ✅ 当日出る汚れを掃除する ✅ 作業員の衛生面をチェックする |
| 技術面 | ✅ 作業動線にしっかり養生がされている ✅ 物を静かに扱えている ✅ 作業員同士の声かけや連携が取れている ✅ 家財ごとに資材を使い分けている ✅ 梱包が丁寧で仕上がりが美しい |
| 接客面 | ✅ 作業員の挨拶 ✅ 作業中のコミュニケーション(報連相の有無) ✅ お客様としての最適ポジションを保つ |
【衛生面】やることリスト
衛生面で押さえたいポイントは以下の3つです。
- ① 主体的に動く
- ② 当日出る汚れを掃除する
- ③ 作業員の衛生面をチェックする
① 主体的に動く(ハンガー服の扱いは特に重要)
クローゼットの衣類は、ハンガーボックスという専用資材に移し替えますが、作業員が軍手のまま触れると汚れが付く可能性があります。
潔癖気味の方、衣類を大切にしたい方は、自分でハンガーボックスへ掛け替えるのが安全です。
② 大物を動かした後の“当日ホコリ”はその場で掃除
前日までに掃除していても、冷蔵庫・棚・ベッドなど大物を動かすと、必ずホコリや汚れが出ます。
このタイミングで軽く掃除をしておくと、新居に綺麗な状態で搬入できます。
一部業者では簡易の拭き掃除を行う場合もありますが、作業員全員が徹底しているとは限りません。
雑巾を渡して依頼するなど、ひと声かけておくと安心です。
③ 作業員の衛生面に目を配る
以下のポイントをチェックしましょう。
- 軍手のまま布製品(服・布団・マットレス)を触っていないか
- 新居に上がる際に靴下を履き替えているか
- ダンボールを置く前に養生シートを敷いているか
業者がサービスとして掲げていても、作業員ごとの意識差はあります。
気になる場合は遠慮せず声かけをしてOKです。
【技術面】やることリスト
技術面で注視したいポイントは5つ。
- ① 作業動線にしっかり養生がされている
- ② 物を静かに扱えている
- ③ 作業員同士の声かけや連携が取れている
- ④ 家財ごとに資材を使い分けている
- ⑤ 梱包が丁寧で仕上がりが美しい
① 養生の質をチェック
壁・床・階段部分に養生ができているかは品質を左右する重要ポイントです。
丁寧な作業員ほど、動線全体にムラなく養生を施します。
② 物を置くときの“音”
技術の高い作業員は、荷物を置くときも静か。
「ドン!」と乱暴に置くような動作が多いと破損リスクが高まります。
③ 声かけと連携の良さ
引越しは必ず複数人で作業します。
無言で作業しているチームより、
「OK」「そこ注意!」「下ろすよ!」
と細かな声かけがあるチームのほうが安全性・スピード・品質すべてが高いです。
④ 資材の適切な使い分け
資材は年々進化しており、専用資材を使い分けることで家財を確実に守れます。
しかし、現場では“面倒だから使わない”作業員も存在します。
丁寧な作業員ほど、
家具・家電に応じて最適な資材をしっかり使い分けます。
⑤ 梱包の美しさ=技術の高さ
上手な作業員の梱包は本当にアートレベル。
段ボールの応用や資材の使い回しが見事で、見ていて気持ちいいほどです。
逆に雑な梱包は一目で分かり、破損リスクも高まります。
【接客面】やることリスト
引越作業員は“運送業”であり、同時に“接客業”でもあります。
接客品質を見極めるために、以下の3つを意識しましょう。
- ① 作業員の挨拶
- ② 作業中のコミュニケーション(報連相の有無)
- ③ お客様としての最適ポジションを保つ
① 挨拶の質を見る
全員が丁寧に挨拶できるチームは、作業スキルも総じて高い傾向があります。
笑顔での挨拶は安心感にもつながります。
② コミュニケーションの有無(特に報連相)
高品質な作業員は、
「キズを見つけたので確認お願いします」
「これは備え付けですか?」
など報告・連絡・相談を欠かしません。
逆に、何も言わずに進めるタイプはトラブルを隠すケースもあり要注意。
③ 最適な立ち位置を取る
引越し現場では“導線の確保”が命です。
掃除や確認で動き回ってしまうと、作業員の動きを妨げてしまいます。
作業の邪魔にならない場所に立ちつつ、必要なときだけ声かけできる位置をキープしましょう。

お客様からよく聞かれるのが「作業中は何をしていればいいですか?」という質問です。
中には片隅でスマホを見たり、外出してしまう方もいますが、作業を確認できない状態はトラブルの原因になりやすいため注意が必要です。
引越し当日に“やることリスト”が必須な7つの理由

引越し当日に「司令塔として動く」「衛生面・技術面・接客面をチェックする」という行動が必要な理由は、大きく 7つ にまとめられます。
① 作業ミスやトラブルを未然に防ぐため
家具の破損、壁の傷、紛失、荷物の取り違えなど、引越し当日は小さな判断ミスが大きなトラブルにつながります。
お客様が現場を見守り、必要な場面で判断することで、作業員の迷いやミスを防ぎやすくなります。
② 作業スピードと効率が大幅に上がるため
判断が必要な場面でお客様が不在だと、作業員は手を止めざるを得ません。
司令塔として動くことで、確認待ち・指示待ちの時間が減り、引越し全体のスピードと効率が上がります。
③ 家財の衛生・品質を守るため
ハンガーボックスの扱い、布製品の触れ方、当日出るホコリの掃除などは、気にしないと不衛生な作業になりがちです。
お客様が主導して動くことで、衛生的な状態で家具・衣類を新居に運べます。
④ 作業員の技術差・意識差を補うため
引越し業界では、同じ会社でも作業員ごとにスキル差が大きいのが現実です。
養生の質、資材の使い方、荷物の扱い、連携の丁寧さなどは、作業員の力量次第でバラつきます。
お客様がチェック役として動くと、技術不足によるトラブルを回避しやすくなります。
⑤ 破損リスクを最小限に抑えるため
物の置き方が雑、梱包が甘い、声かけ不足などは、すべて破損につながる要因です。
見守り・声かけをするだけでも作業員の緊張感が増し、丁寧な作業が維持されやすくなります。
⑥ 接客品質の良し悪しを見極めるため
挨拶ができるか、報告・連絡・相談があるか、丁寧な応対ができているかは、業者の品質に直結します。
現場でしっかり見極めることで、
- ❌ 不快な対応
- ❌ 説明不足
- ❌ 隠し事
といった“質の低い作業員”によるトラブルを防ぐことができます。
⑦ 結果として「高品質な引越し」を実現できるため
当事者意識を持って動くと、
- 💡 作業がスムーズ
- 💡 ミスが減る
- 💡 衛生的
- 💡 家財を守れる
- 💡 作業員との連携が取りやすい
という好循環が生まれます。
つまり、“ほったらかし”より“司令塔として見守る”ほうが間違いなく高品質な引越しになる
ということです。

やることはどれもシンプルなことです。
肉体労働は作業員。自分は現場監督の立場で見守りましょう!
当日の作業はこう進む!引越し作業の全体フロー

当日の引越し作業は「搬出」と「搬入」の2つの工程に分かれています。
それぞれの流れをわかりやすく解説しますので、今回紹介した“当日にやることリスト”と“前日までの準備”を照らし合わせながら確認してみてください。
搬出時の作業の流れ
① 予定時間に作業員が到着
➡ まずは全員がしっかり挨拶できているかチェック。
② 導線の養生作業
➡ 壁・床に傷がある場合は、このタイミングで作業員から報告があります。
③ ダンボールから搬出開始
➡ 玄関付近にまとめて置いておくと、作業効率が格段に上がります。
④ 小物家財の梱包
➡ 丁寧で美しい梱包か、家財ごとに資材を使い分けているか確認。
⑤ 洋服をハンガーボックスにかける
➡ 衣類の衛生面が気になる人は、自分で主体的に作業しましょう。
⑥ 大物家財の梱包
➡ 移動の際に出るホコリや汚れを、サッと拭ける準備を。
⑦ 大物家財の搬出
➡ 作業員同士がしっかり声を掛け合い、連携できているかがポイント。
⑧ 外物家財・積み忘れの確認
➡ 備品か荷物か迷うものは、作業員とコミュニケーションを取りながら確認。
⑨ 行先へ移動
搬入時の作業の流れ
① 予定時間に作業員が到着
➡ 新居に上がるタイミングで、靴下が清潔かチェック。
② 家財の配置を確認
➡ 見取図があると、搬入作業が非常にスムーズになります。
③ 導線の養生作業
➡ 動線全体にムラなく養生されているか確認しましょう。
④ 大物家財から搬入開始
➡ 置くときに「ドン!」と強く置いていないか。床の傷防止のための重要ポイント。
⑤ 布製品(ソファ・マットレスなど)の搬入
➡ 軍手を外す、汚れを付けない配慮がされているかチェック。
⑥ 洋服をハンガーボックスから取り出す
➡ 自分で取り出せば衛生面の不安ゼロ。作業員も他の作業に集中できます。
⑦ 小物家財の搬入
➡ 割れ物やキャスター付き家財は、静かに扱えているかが破損防止のカギ。
⑧ ダンボールの搬入
➡ 開梱は作業後でOK。部屋の隅など、作業員の動線を妨げない位置にまとめましょう。
⑨ 作業終了
➡ 最後に、ぜひ作業員へ直接「ありがとう」や感想を伝えてください。
現場の士気も上がり、気持ちの良い引越しの締めくくりになります。

引越しが1日完結でも、2日に分ける場合でも、基本的な当日の進行は変わりません。
よくある当日の悩みとプロが語る解決策

💭 引越し作業時間の目安は?
引越し作業は、現場の状況によって時間が大きく変動します。
正確に読み切るのは難しいものの、これまで3,000件以上の現場を経験してきた中で、ある程度の “目安時間” は見えてきます。
引越し作業時間の計算式
※まずは、自分の荷物量(立米数)を引越し業者に確認しましょう。
- 搬出時間=搬入時間×1.15倍
- 搬入時間=立米数×0.1時間
まず知っておきたいのは、搬入作業は搬出より早いということ。
搬出時は家財を梱包したり、保護をしたりと細かな作業が発生するため、どうしても時間がかかります。
- 引越し作業時間のざっくりした目安
- 👤 一人暮らし(10立米)
・搬出:約1時間15分
・搬入:約1時間
👥 二人暮らし(20立米)
・搬出:約2時間30分
・搬入:約2時間
ただし、この目安はあくまで“標準的なケース”。
実際の現場では、階段作業やトラックとの距離、荷物量の多さなどの要因で、
+1時間以上かかることも珍しくありません。
管理会社の立ち合いや、その後の移動手段の時間が決まっている場合は特に「作業が何時に終わるのか」が気になりますよね。そこで大切なのは、作業開始前に作業員へ大まかな終了見込みを確認しておくこと。
ただし注意点として、
引越し作業の終了時間はどうしてもブレるため、当日の予定をギチギチに詰めるのはNG。
時間に追われる状況になると、作業が雑になったり、トラブルにつながる可能性もあります。
引越し当日の悩みを減らすポイント
- ✅ 当日は「引越し作業に集中する日」と割り切る
- ✅ 立ち合い・役所・買い物などは可能な限り別日に回す
- ✅ 作業開始前に「おおよその終了時間」を確認しておく
- ✅ 時間に追われない環境をつくることで、品質も安全性も上がる
💭 休憩はどうなるの?
引越し当日によくある質問のひとつが、「作業中の休憩はどうなるの?」 というものです。
基本的な休憩の取り方
夏場は熱中症リスクが高いため、1時間ごとに5分ほどの短い休憩を確保することが一般的です。
しかし、それ以外の季節は作業の流れを優先し、休憩なしで数時間続けて作業することも珍しくありません。
実際、引越作業員は作業に集中するあまり、
「気付いたら3時間経っていた…」
というほど、時間の感覚がマヒしてしまうこともあります。
作業が長時間になると「お昼問題」が発生しやすい
引越しは内容によっては4~5時間以上かかることがあり、
ちょうどお昼の時間に重なるケースも多いです。
お客様の中には、
「お昼ご飯をとる時間を確保したい」
という方もいらっしゃいますが、実はここが悩みどころ。
というのも、引越し業者はその日のスケジュールが詰まっており、
次の現場が控えている場合は、お昼休憩を挟まずに作業を続けることがあります。
作業員自身も、決まった時間に休むのではなく、
移動中など空いたタイミングでサッと食事を取るスタイルが一般的です。
お昼休憩をとりたいなら「当日」ではなく「見積もり時」に相談を
もし
- 必ずお昼休憩を取りたい
- お子さんの食事や予定に合わせたい
- 一度作業を止めてほしい
という希望がある場合は、
引越し当日に伝えるのは遅い場合があります。
業者のスケジュールは事前に決まっているため、
見積もり時に担当営業へ相談しておくのがベスト。
当日に急にお願いしても対応できないケースがあるからです。
繁忙期ではなく「おすすめの時期」なら調整しやすい
繁忙期(3月)よりも余裕のある時期(5月や11月など)であれば、
休憩時間の希望も比較的叶えやすく、スケジュール調整もしやすいので安心です。
💭 差し入れや心付け(チップ)は必要?
引越し作業では、お客様から差し入れをいただくことがあります。中には心付け(チップ)を渡してくださる方もいて、引越し料金とは別に「お気持ち」をいただけるのは正直とてもありがたいことです。
一方で、お客様からは
🗨️「差し入れってしたほうがいいの?」
🗨️「チップを渡すと、作業が丁寧になるの?」
と悩まれる声もよく聞きます。
結論:どちらも“必須ではない”し、品質が変わることもありません
差し入れがなくても、心付けがなくても問題ありません。
そして、心付けの有無で作業の品質が上がることも下がることもありません。
高品質な引越し作業員は、「物をもらったから丁寧にする」ということは一切ありません。
日常的に高い基準で仕事をしているため、品質は変わらないのです。
とはいえ、感謝を伝える手段としてはとても良いと思います。
差し入れや心付けは、「感謝の気持ちを伝えたい」というお客様ご自身の満足感にもつながります。
無理にする必要はありませんが、
「ありがとうの気持ちが伝わるなら渡したい」
と思えるなら、とても素敵な方法です。
実際にいただいた差し入れ・心付けの例
僕自身が現場で受け取ったものは以下のようなものです。
- 🥤 飲み物(お茶/コーヒー/スポーツドリンク/水/ジュース)
- 🍪 軽食(お菓子/おにぎり/パン/フルーツ)
- 💴 心付け(1,000円〜10,000円)
どれも嬉しいですが、実は一番嬉しいのは「言葉」です。
もっとも嬉しい“差し入れ”は「ひと言」
たとえば…
- 😊「丁寧にやっていただきありがとうございました」
- 😄「今までで一番良い作業でした」
- 🥰「次の引越しもぜひお願いします」
こういった言葉は、引越し作業員にとって本当に励みになります。
お金や物より、この一言が一番のご褒美なのです。

引越し当日の作業ペースや休憩時間は、担当する作業員によって多少異なることがあります。
気になる点があれば、その場で遠慮せず作業員に確認しましょう。
まとめ|失敗しない引越し当日の動き方

この記事では、引越し当日にやるべきこと、作業の流れ、よくある悩みを解説しました。
当日、まず大切なのはあなた自身が当事者意識を持ち、「司令塔」として行動することです。
判断や確認がないと、作業が止まったりトラブルにつながるリスクがあるからです。
引越し当日にやることは、衛生面・技術面・接客面の3つのカテゴリーに分けられます。
| カテゴリー | やること |
| 衛生面 | ✅ 主体的に動く ✅ 当日出る汚れを掃除する ✅ 作業員の衛生面をチェックする |
| 技術面 | ✅ 作業動線にしっかり養生がされている ✅ 物を静かに扱えている ✅ 作業員同士の声かけや連携が取れている ✅ 家財ごとに資材を使い分けている ✅ 梱包が丁寧で仕上がりが美しい |
| 接客面 | ✅ 作業員の挨拶 ✅ 作業中のコミュニケーション(報連相の有無) ✅ お客様としての最適ポジションを保つ |
引越作業員は当日誰が担当になるか分かりません。
事前準備で高品質な作業員を選んでいても、初対面で不安を感じる方は多いです。
しかし、このやることリストを実行すれば、
衛生面・技術面・接客面すべてで作業品質を高めることができます。
さらに、引越し当日の流れを事前に把握しておくことで、
休憩や引越し後の予定も調整しやすくなり、
バタバタや焦り、イライラといったトラブルも防げます。
最後に、高品質な引越し作業を終えた際は、作業員に一言労いの言葉をかけてください。
僕たちはその言葉で喜びを感じ、さらに質の高い仕事を目指します。
この記事が、あなたの引越し当日をスムーズで安心なものにする参考になれば幸いです。
最後まで記事をお読みいただき、ありがとうございました。